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日本・旧満州鉄鋼業資料(水津利輔氏旧蔵資料)

滿洲産業開發五箇年計畫要綱

『滿洲産業開發五箇年計畫要綱』昭和12.2(1937.2) P-Ⅰ-1 no.1790

「日本・旧満州鉄鋼業資料」は、水津利輔(1893-1980)氏より寄贈された資料群であり、総数3,476点にのぼります。

水津氏は、大正9年から昭和16年にかけて鞍山製鉄所およびその後身の昭和製鋼所に勤務し、 「満州経済建設」の中核的事業ともいうべき昭和製鋼所の拡充計画立案を行い、 昭和16年から終戦にかけては日本鉄鋼統制会理事としてより広い「日満支」の枠での鉄鋼計画の実施にあたりました。 さらに戦後は昭和38年まで日本鉄鋼経営者連盟理事、ついで日本鉄鋼連盟常務理事などを歴任し*1、長きにわたり日本の鉄鋼業に尽力しました。

氏によって収集された資料群の主要部分は、昭和製鋼所の拡充を中心とする満洲鉄鋼業の建設、 およびその動因となった「日満支」の範囲での鉄鋼増産計画の立案に関する資料*1です。 これらの資料は、昭和製鉄所の具体的な企業経営のなかで作られた資料群と、 日本が鉄鋼の戦時統制に入ってからの総括的統制の運用資料群、 さらに戦後の時点でそれを再検討した資料群を含んでおり*2、 満洲事変から第二次世界大戦にわたる戦時の日本経済事情を分析する上で、貴重な資料となっています。

※ 上記資料紹介文は、当資料目録掲載の監修者序文(*1)および松田芳郎「水津利輔氏と水津資料の特質について」(*2)をもとに構成しています。

利用方法

一橋大学機関リポジトリHERMES-IRexlink.pngで利用できます。編成の詳細については、HERMES-IR中の「コミュニティ・ホームページ」を参照ください。

  • 検索キーワードとして使用可能な書誌データは、下記目録からの転記です。一部誤植等は差し替え修正し登録していますので、検索の際ご留意ください。
  • 資料群全体の体系については、「Series/Report no.」および「Appears in Collections」に記載し、次に、その下位の体系、ファイルや資料を収める袋内の資料1点ごとの配列順序を「Archivists Note」に記しています。さらに、資料1点ごとに個別の連続番号を付し、これを「Reference Code」に記しています。

目録

石川滋監修『日本・旧満州鉄鋼業資料解題目録:水津利輔氏旧蔵資料:上』 一橋大学経済研究所附属日本経済統計情報センター,1979(統計資料シリーズ No. 12)icon_pdf.png(9.2MB)【請求記号:D06:H77:(12)】

石川滋監修『日本・旧満州鉄鋼業資料解題目録:水津利輔氏旧蔵資料:下』 一橋大学経済研究所附属日本経済統計情報センター,1980(統計資料シリーズ No. 13)icon_pdf.png(13.6MB)【請求記号:D06:H77:(13)】

関連文献

  • 水津利輔(1974)『鉄鋼一代今昔物語:日本鉄鋼業100年側面史』 鉄鋼短期大学出版部 【請求記号:K3F8h211:Su52】
    日本の鉄鋼業とともに歩んだ水津氏自らの体験にもとづく、 日本の鉄鋼業の一側面史。 後半には鉄鋼業の労働生産性と賃金に関する研究論文が収録されている。
  • 鞍山製鉄所庶務課編(1930)『鞍山製鉄所事業概観』 鞍山製鐵所庶務課 【請求記号:K3F8h221m:F94, L42:Sh13-1:(13)】
    鞍山製鉄所の各業務担当者によって執筆された、製鉄技術・工場経営管理等の解説書。 このなかで水津氏は「製鉄所事務及生産管理法概要」を執筆し、鞍山製鉄所の事務と生 産管理の現状について述べている。
  • 大竹愼一(1976、1979)「戦時下における日「満」鉄鋼業資料」、「旧満州戦時金融資料:水津利輔氏旧蔵資料より」『金融経済』 160、pp. 85-168.; 177、pp. 69-116.【請求記号:K3F8h08:O82】、【請求記号:P211m:O82】(2000年『日中通貨戦史:旧植民地通貨金融研究』 フォレスト出版 【請求記号:N211m:O82】 に上記2点の解題を再掲している)
    水津資料のうち鉄鋼業および金融関連資料を数点紹介している。
  • 松本俊郎(1982)「満州鉄鋼業開発の実態について-元昭和製鋼所企画課長水津利輔氏に聞く-」 exlink.png 『岡山大学経済学会雑誌』 13(4)、pp. 235-250.
    1976年に水津氏から、満洲産業開発に焦点を絞って、聞き取り調査した内容をまとめている。
  • 松本俊郎(2000)『「満洲国」から新中国へ』 名古屋大学出版会 【請求記号:K3F8h211m:Ma81】
    水津資料から得られた「満洲鉄鋼類生産並配分概要」等をもちいて満洲銑鉄の流通実態を論じ、また、同じく水津資料に含まれる事故報告資料等により、1930年代後半以降の労働力に対する需要の高まりと逼迫状況を明らかにしている。

2018年現在