下村治著作関連資料
「下村治著作関連資料」(42KB)は、日本開発銀行設備投資研究所(現日本政策投資銀行設備投資研究所)が下村治氏歿後その業績をまとめた『下村治博士著作集』(私家版)を作成するにあたり、ご遺族より提供された資料がその中心となっています。総数約2,000点の資料のほとんどが、下村氏の論文(評論、対談、講演速記、関連記事等)の切抜き及びそのコピーですが、ごく一部、大蔵省内資料や草稿類(メモ)等非刊行物を含んでいます。
下村氏は、大蔵省出身の戦後日本を代表する官庁エコノミストです。 1950年頃から大蔵省内外で経済問題に関する論文を積極的に発表し、『金融財政事情』(1955年1月1日号)に掲載された「金融引締め政策―その正しい理解のために」は「下村理論」として大きなインパクトを与えました。また、1958年に「経済成長実現のために」、1959年には「日本経済の基調とその成長力」を発表し、経済成長論争を巻き起こしました。下村の理論は、池田勇人内閣の国民所得倍増計画を支え、日本の高度成長に対して理論的な裏付けを与えることになりました。
1959年に大蔵省を辞職した後は、国民金融公庫理事などを歴任し、1971年頃からは成長減速論に転じました。1973年の石油危機以降、ゼロ成長論を唱え、賃金インフレの危険性を説き、財政再建の必要性と赤字国債・内需拡大による景気対策に警告を発し続けました。
下村治著作関連資料
『下村治博士著作集』
利用方法
利用には事前のお申し込みが必要になります。所定の用紙に必要事項を記入し、当センターにご連絡ください。
下村治著作関連資料リスト(42KB)には雑誌名、ファイル単位での概要・年代しか記載していないため、個々の論文切抜き資料等を探すには以下の検索補助リストをご利用ください。
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非刊行物リスト(33KB):下村の手稿や大蔵省内資料等非刊行物を抽出し、年代(推定を含む)順に並べたものです。
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下村治雑誌・新聞掲載論文リスト(789KB):著作、講演等の新聞・雑誌掲載論文・記事を選んで年代順にリストにしたものです。下村の著作ではないが論文に関連する論評等は著者欄の先頭に*を付けました。
『下村治博士著作集』は当センターで閲覧・複写することができます。
関連文献
下村治の主要著作
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『経済変動の乗数分析』 東洋経済新報社, 1952.
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田村敏雄編 『経済成長実現のために:下村治論文集』 宏池会, 1958.
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金融財政事情研究会編 『日本経済の成長力 : 「下村理論」とその批判』 金融財政事情研究会, 1959.
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『日本経済成長論』 金融財政事情研究会, 1962.
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『日本経済は成長する』 弘文堂, 1963.
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「私の日本経済論」 『私の日本経済論 2』 日本経済研究センター編. 日本経済新聞社, 1966. p.7-107.
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『経済大国日本の選択』 東洋経済新報社, 1971.
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下村治、竹中一雄 『日本経済の転回点』 東洋経済新報社, 1972.
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『ゼロ成長脱出の条件』 東洋経済新報社, 1976.
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下村治、鈴木幸夫 『低成長をどう生きる』 財経詳報社, 1978.
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『日本経済の節度』 東洋経済新報社, 1981.
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『日本は悪くない 悪いのはアメリカだ』 ネスコ, 1987.
下村治に関する資料
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『教職員著作目録(7)』 拓殖大学図書館, 1981.
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「下村治氏を偲ぶ」 『行友』 日本開発銀行行友会, No.132, 1989.
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下村治博士追悼集編纂委員会編 『下村治』 下村治博士追悼集編纂委員会, 1991.
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金森久雄 『わたしの戦後経済史』 東洋経済新報社, 1995.
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エコノミスト編集部 『高度成長期への証言 (上)』 日本経済評論社, 1999.
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堀内行蔵 『下村治博士と日本経済 高度成長論の実践とゼロ成長ビジョンの含意』 日本政策投資銀行設備投資研究所, 2007.
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上久保敏 『下村治 「日本経済学」の実践者』 日本経済評論社, 2008. (評伝日本の経済思想)